全日本ヨーヨー選手権大会

6月30日、全日本ヨーヨー選手権大会を見に行った。

全国の地区予選を勝ち抜いた選手たちが、千葉の行徳文化ホールに集結し、6月30日（予選）、7月1日の二日間に渡り熱戦を繰り広げた。

この大会に、小学6年生の甥、よしたか君が出場した。

自分も小学生の頃は、何度かヨーヨーがはやり、ハイパーヨーヨーとかで一日中遊んでいた。
犬の散歩とか東京タワーとか大回転とか、そんな技ができる友達が凄いと思い、何度も練習して、やっとできるようになった・・・・そんな記憶がある。

それから、40年近くが経った今、ヨーヨーの大会で何をするんだろう？とYoutubeで検索してみたら、とんでもない進化を遂げていた。
・・・というよりも、何をしているのか、さっぱり分からない。

うちから電車を何度か乗り継いで、約2時間弱。
大会も半分以上が経過した頃、行徳文化ホールに到着した。
よしたか君の出番までには、まだ1時間ほどの余裕がある。

1時間も見ていて飽きないかな～と思っていたのだが、会場に入り、選手たちのパフォーマンスを見て、絶句・・・・
一時も目を離せない、ものすごい世界だった。

多くの選手は、ミスをする。きれいに決まる選手の方が少ないくらいだ。

それは、まるで格闘技の試合のようだった。

へらへらしながら、ステージの中央に歩いてくる選手。
名前をコールされ、大きく深呼吸をすると、彼の目が変わる。
体の周りの空気がピンっと張り詰めるのが分かる。
それは、格闘技のリングに上がり、相手選手と向かい合ったときのような、何ともいえない緊張感だ。
そんな空気を身にまとった選手は、見事なパフォーマンスを見せてくれる。
反対に、へらへらしながら出てきて、その雰囲気のままパフォーマンスを始めた選手は、ほとんどが失敗をして、へらへらしながらステージの隅に消えていく。

それでも、全体的に信じられないほど高度な技の応酬だった。
プロの大道芸人のような大人ばかりの大会に、小学生のよしたか君が出て、どこまで戦えるのだろう？
出番を控えたよしたか君の顔は、少々青ざめていた。
「頑張って」と、小さく声を掛けたが、それ以上のことが言えない。
押しつぶされそうなほどのプレッシャーに耐えているのが分かる。

出番になり、ステージに上がったよしたか君は少し堅くなっているように見えた。
それでも、ジャンプをし、体を動かしながら、なんとか緊張をほぐそうとしている彼は、子供ながらも、りっぱな選手の一人だった。
パフォーマンスが始まると、ほかの大人の選手に見劣りしない演技を見せつけた。
その動き、リズム、呼吸、間・・・ほんの1分ほどのパフォーマンスだが、これほど高い次元に集中力を維持できる彼が信じられなかった。
大人の選手でさえ、途中で集中が切れてしまうことが多い中、よしたか君は、最後まで集中を切らさず、ビシッとしたポーズでパフォーマンスを締めくくった。
ステージを降りて、席に戻ったとき、「2つミスをした」と言っていたが、どこでミスをしたのか、よく分からない。

よしたか君の5人あとに、ヨーヨーの世界チャンピオンが同じ選手として、ステージに上がった。
チャンピオンは、場の雰囲気を緊張させない。
へらへらもしていなければ、空気を変えることもない。
見ている人を楽しませようとしている・・・ただそれだけ。
そして、パフォーマンスが始まると、なんというスピード、なんという正確さ。
身にまとっている雰囲気も、持っている技術も、ほかの選手たちとはレベルが違う。

ヨーヨーという、自分とは異なる競技の世界ではあるけれど、極限まで技を競い合うという世界に共通する、たくさんのものを見せてもらい、勉強になった。